課題指向型アプローチ



新人・若手療法士向け課題指向型アプローチの解説

 2019年時点ではAmerican Heart Associationで課題指向型アプローチ(task oriented approach)がエビデンスAとされている。また、CI療法は改定される前の脳卒中ガイドラインで、目標志向型練習に合わせてグレードで表記されている治療コンセプトである。そこで、今回は課題指向型アプローチとCI療法の課題指向型訓練についてまとめた。

 

 

課題指向型訓練とは

 理学療法・作業療法の治療の考えかたは、1940年から1960年代まで筋再教育が主体となり、1970年から1980年は神経筋促通手技へ変化した。そして、1990年代以降は課題志向(課題指向型訓練):task oriented approachへと変化している。
 課題指向型アプローチは神経促通法の基礎となる仮説とはまったく異なる「ダイナミカル・システムズ理論」による、運動制御の考え方である。さらに、同アプローチは問題解決を基盤とする介入理論と言われ、個体と環境および両者を有機的に結びつける課題(タスク)から構成される。これは従来型の方法論の応用である。課題指向型アプローチの評価と治療の枠組みは、従来型の方法をダイナミカル・システムズ理論の視点に沿って再配列したものであり、遂行能力のレベル、戦略のレベル、機能障害のレベルの3つの要素から構成されている。
課題指向型アプローチの治療目標は次の4つである。
①:潜在的な機能障害の改善と予防
②:機能的運動課題の達成のための効果的な戦略の学習
③:機能的運動課題を遂行する能力の再獲得
④:環境条件が変化しても③を応用できる能力の獲得

特徴とする点は、機能的な能力を改善することや獲得することではなく、機能的障害が残存する場合には、その状態に適した効率的な代償方法を理論に基づいて提示することである。

 

 

CI療法と課題指向型練習

 CI療法(Constraint-induced movement therapy)は1900年代初頭にヒト以外の霊長類の非麻痺手を拘束し麻痺手に対してアプローチする基礎研究が始められ、ヒトへの応用は1980年代から開始された。
CI療法は麻痺手の使用を実生活へ反映させるための行動の定着を促進する介入手段と言われている。さらに、臨床的なコンポーネントのパッケージといわれており、①麻痺手に対する難易度調整が実施された課題指向型アプローチ、②練習時間中の全ておよびそれ以外の日常生活活動において、覚醒時間の90%以上の非麻痺手の拘束、③日常生活活動へ転移するといった行動を定着させる方略が含まれている治療法である。単純なCI療法は麻痺手の拘束だが、医療施設での機能改善を対象者が実際に身を置く生活へ反映させなければいけい課題がある。これを、解決するためにMorrisやTabeらがCI療法のprotocolを発表した。Protocolは繰り返しの課題指向型訓練とTransfer packageからなる。Transfer Packageは実生活場面への反映(Real world use)につなげるものとなる。
 CI療法の課題指向型練習は効果的戦略の学習と能力の再獲得が狙いであると思われる。竹林らは、麻痺手の回復度合いに合わせた課題指向型訓練を提唱しており、BRSに基づいた介入をすることで機能改善につながると考えられる。CI療法の課題指向型練習はshaping課題とTask 練習となっている。Shapingは行動形成法であり、課題の反復訓練と難易度調整を行う。Task練習は実際の生活動作を練習することである。これらを量的に練習し麻痺手の回復を図ることを課題指向型練習と示している。

 

 

まとめ

 今回課題指向型練習について調べた。課題指向型練習は人と課題と環境を結ぶもので、環境が機能改善を図ることも分かった。そのため、練習方法を提示する際により微細な練習課題を設定し機能改善を図りたいと考える。

 

引用文献

・竹林:脳卒中リハビリテーションの最前線—実践とエビデンス:Journal of Clinical Rehabilitaion臨時増刊.2017:26.
・Morris DM:Constraint-induced movement therapy: characterizing the intervention protocol.Eura Medicophys.2006:42:257-68.
・天本 暁:Transfer package:Clinical Neuroscience:2017:35:No5
・藤田 博暁ら:中枢神経系に対する理学療法アプローチー課題指向型アプローチからMoter Relearning Programへー:理学療法.2007:22:319-324
・諸橋 勇:脳卒中患者に対する課題指向型アプローチー課題指向型アプローチと運動学習に基づいた介入の考え方—.理学療法.2018:45:31-35

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です