上肢骨折のリハビリテーション



上肢骨折のリハビリテーション

今回は上肢骨折のリハビリテーションの概要を説明します。一般的な骨折の流れですので、手技に関しては教科書や勉強会で学習してください。この他、こちらも参照してください。

 

基本原則

上肢の骨折の基本的な原則は、対象者の損傷部位・損傷組織・損傷程度と医師が行った修復方法・内容を理解することが原則です。
そして、治癒過程を理解した上で、プログラムの立案及び実施を行います。愛護的なリハビリテーションが望ましいとされてますが、基本的には短時間で患部に過度なストレスを与えることによって、局所炎症を誘発してしまい、癒着や拘縮を助長させてしまいます。
よって、愛護的なリハビリテーションもしくは、患部に対して適度なストレスを与えるリハビリテーションが望ましいです。
更に、骨折の治癒過程を理解した上で、炎症期に応じたリハビリテーションの提供、修復期・造形期それぞれ時期に応じたりはリハビリテーションを行うことが望ましいです。そして、骨の癒合(治癒)の条件を理解して、合併や再骨折をさせない様に進めましょう。
骨折の治癒はこちらも参照▷▷骨折の治癒過程

時期別のリハビリテーション
・炎症期:アイシング(手術後3日間程度はアイシングを行うと良い)
     マイルドな患部外運動や許可された運動
・修復期:可能であれば温熱治療(血行促進を行うことで組織回復が促進)
     許可された運動(運動強度は骨の治癒条件を理解して行う)

 

骨の癒合条件
・全身的:年齢、栄養状態、ホルモン異常、骨代謝に影響する薬剤の使用(ステロイド剤等)
・局所的:感染の有無、骨折系(開放骨折か骨折の形状等)、転位の程度、損傷血管の有無(骨の癒合は血流がポイント。血管損傷がある場合、壊死を起こすリスクや骨折が治癒しない事が多い)など

 
 

骨折のリハビリテーションにおける評価

骨折のリハビリテーション評価の主な項目を絞りました。他にも詳細な評価ができると良いです。
少なからず、下記の項目はおさえて臨床が行える様にしましょう。
ROM-T(関節可動域検査)は、骨折の部位を動かして良い場合、注意して行いましょう。
骨折部位を動かす際は、必ず医師に確認し自動運動と他動運動のどちらが許可されているか。
自動運動のみであれば、自動運動での関節可動域検査のみ行うようにし、カルテにその旨記載をしましょう。
 

  • 情報収集:骨折の状態や治療を確認。医師にも禁忌事項を確認
  • 観察:骨折部位や患部外の観察、皮膚の状態、筋の状態、変形などを観察する
  • 面接:利き手、手の使用方法、仕事(休職期間等)にも細かく聴けると良い
  • 検査:ROM-T、MMT、知覚検査、必要に応じてSWーT等

余談ですが、上記以外にも対象者の手の目標を設定する際に、ADOC、COPM(カナダ作業遂行モデル)、MOHO(人間作業モデル)、といった目標設定のツールを用いることも可能です。
この他、Q-DASH、HAND20といった患者立脚型評価も用いることも有効です。そして、CTSI(CTS患者に用いる評価)といった整形外科領域にはその疾患特有の評価を用いることも多々あります。こちらに関しては、日本整形外科学会日本手外科学会のホームページを参照すると良いです。
 
 

骨折の主なリハビリテーションの流れ

骨折は多かれ少なかれ、固定されている時期(固定期)・固定が外された時期・抵抗運動許可された時期に分かれます。抵抗運動が許可された時期は、主に骨折部に仮骨が形成され、更に運動に耐えることができると判断された時期です。

固定期
・固定外の関節を動かし、患部外の拘縮を生じないように努める
・固定外関節は他動関節可動域訓練、骨折部を筋が跨ぐ(二関節筋)際は自動関節可動域訓練
・固定されている関節は固定肢位の確認、合併の有無(特にシーネやギプスがキツイ場合、痺れが生じやすい)を確認する。
・その他、指導を含めて浮腫予防のために高挙手位を行う。炎症改善を図る

 
 

固定が外された時期
・原則は固定関節の運動を行う
・関節可動域訓練は主治医の許可がおりた際に開始。自動運動か他動運動かも予め確認して行う。
・筋力増強訓練は主治医の許可のもと、骨折部に影響を及ぼさない部位の等尺性筋力訓練
・その他、必要に応じて関節モビライゼーションや筋リラクセーション等を行う

抵抗運動が許可された場合は、主にどのような運動も可能です。しかし、持続的な強い痛みが生じる動作や運動は行わないようにしましょう。関節拘縮が生じた場合は、装具療法(スプリント療法)で、弱い力を持続的にかけて組織を伸張する方法も良いです。

 
 

まとめ

今回は、新人・若手の作業療法士の方向けに上肢骨折のリハビリテーションの概要について解説。セラピストは主治医と連携をとりながらプログラムを立案していくことをお勧めします。他にも、様々な行い方や進め方があるので、ぜひ勉強をしてください。
 
 

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