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乳がんについて
今回は作業療法士が関わることの多い、乳がんについてと乳がんのリンパ浮腫について紹介します。
乳がんは良性の腫瘍と悪性の腫瘍があります。悪性はがんの種類によって悪性度が変わります。
良性疾患の治療と悪性疾患の治療は異なります。
今回は悪性疾患の治療について紹介します。悪性疾患は病期により治療方法が選択されます。初期は外科的治療が行われる場合が多いです。
悪性疾患は浸潤癌と非浸潤癌に大別されます。浸潤癌は病期や転移の有無により違いがありますが、乳房の温存術と摘出術に別れます。そのほか、癌によっては術前に化学療法を行う場合がありますので、対象者の治療方法を見ておきましょう。
手術によってはリンパ郭清を行う場合もあります。
上肢リンパ浮腫の発症
リンパ浮腫の初期兆候として、郭清した手のリンパ節周囲の脇や腕の内側に初期の浮腫が起きることが多いとされています。
スキンケア
リンパ浮腫になると、ちょっとした傷から炎症が発生しやすくなります。そして、リンパになってからも行うようにしてください。
- 皮膚へのダメージが少ない洗い方:洗浄剤を泡立ててから洗う
- 保湿:感想した皮膚はかゆみを発症し、バリア機能の低下を生じやすいです。保湿剤を必要に応じて使用すると良いです。
- この他、日焼け予防・日常生活での虫刺されや引っ掻き傷、ささくれにも注意しましょう。
リンパ浮腫のセルフドレナージ
リンパ浮腫の際のセルフドレナージ方法を紹介します。書かれているものも多いですが、今回はまとめたものを紹介します。
- 肩回し:鎖骨を大きく動かし、ゆっくり肩を回しましょう(10回程度)
- 深呼吸:3−5回ほどゆっくり呼吸をしましょう
- 左わき下のマッサージ:右手を左わきしたに当てて丸く動かしましょう(20回程度)
- 皮膚のマッサージ:左右のわきの下の間の皮膚をマッサージしましょう
- 足の付け根のマッサージ:手の手術側と同じあしの付け根をマッサージします。足の付け根に手を当てて、丸く動かしましょう。(20回程度)
- 皮膚のマッサージ:体のわきの皮膚をマッサージしましょう
- 浮腫のある腕のマッサージ:肩から肘の間の、肩に近い部分から行います。次に肘から手首の間の肩に近い箇所から行います。最後に手の甲や指を行いましょう。最後に、指先から肩にかけて逆の順序で行いましょう。
- まとめ:手の甲から腕、胸の上、手術と反対の脇にかけてマッサージをします。その後、手のひら、腕、わきの後ろ、手術と同じ側の足の付け根にかけてマッサージを行いましょう。
リンパ浮腫は指導も大事ですが自己に気づくことも大切です。マッサージをしながらてと向き合うことで、早期発見にもつながるので
きちんと指導しましょう。
リンパ浮腫の早期発見ポイント
リンパ浮腫はより早期に発見することが大切です。そのため、チェックポイントを指導しましょう。
・手術側の静脈が見えにくくなる
・皮膚の赤みがある
・手術側を下に下げると徐々に色味が悪くなる
・皮膚が硬くなる
・多毛になる
見た目のチェックポイントは左右に違いが出ることが多いです。日々観察することが大切です。
さらに、わからなくなる場合は、写真をとることで比較もできるので良いかもしれません。
・皮膚をつまみ上げられるか?の左右に違いがあるか確認する
・早期のリンパ浮腫では圧迫した痕が残る。慢性期は圧迫の痕が残らなくなる
・長期間、浮腫が続くと皮膚が硬くなる
さわった際も左右に違いが出ることが多いので、早期に発見できるよう指導しましょう。
医療者に伝える際のチェックポイント
医師への診察の際に、うまく伝えられないことも多いと思います。
そのため、チェックリストを用いて伝えることで、医療者に短時間でわかりやすく伝えられます。
(手術側の腕の違和感、張り、衣類の袖口・指輪・腕時計の痕が残るもしくはキツイ)
⬜︎浮腫やその他の変化に気づいたのはいつか
⬜︎浮腫やその他の変化はどのくらいの期間持続しているか
⬜︎浮腫やその他の変化のきっかけとなった出来事はあるか(手を多く使う仕事や家事を行なった時間が長かったなど)
⬜︎どんな時に症状が増強するか
⬜︎症状を感じたとしても軽減するか
まとめ
今回は乳がんのリンパ浮腫の指導内容についてまとめました。
新人・若手の療法士の皆様に指導の一助となれば幸いです。
日々勉強して、作業療法の技術や知識の向上を行い、盛り上げましょう。
参考文献
・リンパ浮腫診療実践ガイド
・日本乳癌学会編:乳腺腫瘍学
・看護技術:2016年