骨折の治癒過程


治癒過程:皮質骨と海綿骨

一般的な教科書に書かれているのは皮質骨の創傷治癒過程が多い。しかし、実際には皮質骨における骨折治癒過程と海綿骨における骨折治癒過程には違いがある。
 

皮質骨の治癒過程

  • Step 1: 皮質骨(主に長管骨骨幹部など)骨折部を中心に外仮骨(bridging callus)が形成される
  • Step 2: 骨折部周囲の皮質骨とともにリモデリング(bone remodeling)により、連続した骨となる
  • Step 3: 骨折線が次第にレントゲン上見えなくなるが、これを一次性骨癒合(primary bone healing)と呼ぶ
*整復が完全で固定性も良い場合には、外仮骨形成がほどんど見られず、両端から骨折部を横断するように骨が形成される
 

海綿骨の治癒過程

  • Step 1: 外仮骨形成が少なく、海綿骨断端の骨梁の間で結合組織内骨化が生じる
  • Step 2: 癒合部が太くなり、リモデリングにより連続した骨梁構造に回復する
*海綿骨は長官骨骨端部や骨幹端部、椎体、短骨が多い。さらに圧迫を伴う骨折が多く、レントゲンでは骨折が認めにくい場合がある。
 
 

組織学的経過

皮質骨中心の治癒過程を紹介します。
 

時期的な組織学的経過

骨折治癒過程は炎症期・修復期・リモデリング期の3つの時期に分かれる。この時期は少しずつ重なっており、それぞれの期の時間的な経過は異なる。
骨折後に出血が生じ、炎症反応が観察してされる時期を炎症期、骨折部を中心に仮骨(Callus)が形成される時期を修復期、外仮骨癒合が起こりリモデリングを受ける時期を、リモデリング期という。
 

細胞の組織学的経過

骨折部は骨髄から出血し、血腫形成される。血腫の周辺にはマクロファージを含む炎症性細胞が浸潤する。
仮骨組織が徐々に形成され、骨折部には骨膜反応が生じて未熟骨組織が形成される。未熟骨組織は一次海綿骨組織で、骨折部の両脇に盛り上がるように形成される。
そして、これらの骨膜細胞によって、結合組織内骨化が始まる。さらに、骨折部では結合組織内骨化に遅れて、軟骨組織形成が怒る。その後、軟骨組織と海綿骨の境界部分で、軟骨組織がこつ組織に変化する軟骨内骨化が生じる。
リモデリング期には骨髄が形成され、癒合して元の構造の骨となる。
 
 

仮骨形成

骨折後は骨折部に出血が生じる。出血により骨髄内からは骨髄細胞が血管からは血液内細胞が局所に播種される。
出血後血腫が形成され、血小板内に貯蔵されたTGFβ(transforming growth facter bata)PDGF(plate derived growth facter)などの成長因子が放出される。また、血行が途絶えたことで骨折部が酸性に傾くことで、これらの成長因子の活性化が促進されると予測されている。
 
 

治癒過程に影響する因子

高齢者においては、骨折治癒にかかる細胞(特に骨芽細胞や軟骨細胞の間葉系幹細胞)の減少や分化能力の低下が考えられる。しかし、比較的若い成人と比較して明らかな治癒遅延は一般的には認められていない。骨折の治癒過程の遅延に関しては、合併症や他の疾患による全身性の制御因子の異常が影響を及ぼしていると考える。

糖尿病や骨基質蛋白質の遺伝子異常を伴う疾患で遅延する。更に、内服している薬剤でも治癒過程が影響を受けると言われている。抗凝固剤では出欠が増え仮骨形成が大きくなるという報告がある。さらに、非ステロイド性抗炎症薬は炎症反応におけるサイトカインの働きが抑制され、骨癒合初期の反応が遅延すると言われている。

 

骨折治癒に関与する因子
1:全身性因子:成長ホルモン・甲状腺ホルモン・カルシトニン・インスリン・ビタミンAとD・副腎皮質ホルモン
2:局所性因子:サイトカイン(MCSF,IL-1,IL-6,IL-11,TNAα,etc)・成長因子(TGFβ,PDGF,BMP-2,BMP-4,FGF-1,FGF-2,IGF-1,activin-A,VEGF,etc)・力学的因子・酸素濃度
 

まとめ

今回は骨折治癒について説明しました。療法士にとって骨折の治癒過程を理解することも大切です。
さらに、リハビリテーションをマネージメントする視点でも大切ですので、よく理解していきましょう。
 
 

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上肢骨折のリハビリテーション | ot-hack

[…] 上肢の骨折の基本的な原則は、対象者の損傷部位・損傷組織・損傷程度と医師が行った修復方法・内容を理解することが原則です。 そして、治癒過程を理解した上で、プログラムの立案及び実施を行います。愛護的なリハビリテーションが望ましいとされてますが、基本的には短時間で患部に過度なストレスを与えることによって、局所炎症を誘発してしまい、癒着や拘縮を助長させてしまいます。 よって、愛護的なリハビリテーションもしくは、患部に対して適度なストレスを与えるリハビリテーションが望ましいです。 更に、骨折の治癒過程を理解した上で、炎症期に応じたリハビリテーションの提供、修復期・造形期それぞれ時期に応じたりはリハビリテーションを行うことが望ましいです。そして、骨の癒合(治癒)の条件を理解して、合併や再骨折をさせない様に進めましょう。 骨折の治癒はこちらも参照▷▷骨折の治癒過程 […]

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