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作業療法士向け解剖学のまとめ
今回は作業療法士に必要な、主に上肢の解剖学(筋・支配神経)について記載します。
臨床実習にも役に立つので、学生の方も必見です。
上肢の筋肉は主に、脊髄から枝分かれをして腕神経叢となり、その後末梢神経まで枝分かれをしていきます。
腕神経叢:C5-Th1を示します。各部位ごとに疾患も紹介しながら、記載します。
上肢の筋(肩甲骨)
主に、肩甲骨周囲について記載します。近年、がんのリハビリテーション(耳鼻科領域)に携わる方は頸部も確認しましょう。
おまけで頸部まで記載しました。
多少文献によっても異なるので、参考程度にしてください
僧帽筋:副神経・頸神経:C2-C4
棘上筋・棘下筋:肩甲上神経:C5・C6
小円筋:腋窩神経:C5・C6
肩甲下筋:肩甲下神経:C5・C6
大円筋:肩甲下神経:C5・C6
作業療法士がかかわることが多い疾患を簡単に紹介します。
特に、特に 棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋をローテーターカフ(回旋筋腱板)といいます。
脳血管疾患では神経麻痺により、棘上筋の筋緊張が低下することで、上腕骨頭が亜脱臼を呈することがある。
整形外科疾患では、インピンジメント症候群と言う、肩関節屈曲時に肩峰と上腕骨頭が衝突し、棘上筋を挟み込み疼痛等が生じることがある。さらに、棘上筋は断裂がしやすく(血流が乏しいと言われている)断裂した場合を、腱板断裂といい断裂したサイズによって手術方式が変わる。
耳鼻科領域は、頸部の腫瘍手術の際に稀に副神経を切除する場合があるので、副神経領域にも留意しましょう。
上腕の筋
上腕の筋肉は作業療法士(特に整形外科疾患を行う際)はある意味必須です。
こちらも疾患特有のものも記載したので参考にしてください。
烏口腕筋:筋皮神経:C5・C6・C7
上腕筋:筋皮神経:C5・C6 橈骨神経:C7
円回内筋:正中神経:C6・C7
方形回内筋:正中神経:C7-Th1
橈側手根屈筋:正中神経:C6・C7・C8
尺側手根屈筋:尺骨神経:C7-Th1
長掌筋:正中神経:C6-Th1
浅指屈筋:正中神経:C7-Th1
深指屈筋:正中神経・尺骨神経:C7-Th1
長母指屈筋:正中神経:C6-Th1
余談ですが、長掌筋は存在しない方もいます。よって、手の手術(手外科手術)の場合は長掌筋を再建に用いることも多いです。
上腕の筋が動かなくなるので有名なものが、C5麻痺です。
C5麻痺は、脊髄・脊椎の手術後や外傷によって神経が引き伸ばされた場合に生じます。症状は、C5神経領域の動きが難しく、C5神経領域の感覚障害も時に生じます。(部位は肩関節の外側で上腕骨頭周辺のみ)
肩関節の外転・屈曲が難しく、神経の損傷程度によっては肘関節の屈曲・肩関節の外旋も困難となります。
作業療法士は、手外科に携わることも多いため、C5麻痺については十分に理解すると臨床の際に役に立ちますよ!
次は伸筋です。伸筋は主に橈骨神経支配で手関節の背屈と手指を伸ばすことがメインです。
また、母指・示指・小指は独立した伸筋を持つのも有名です。これらの独立した伸筋によって複雑な指の動きが可能となっています。
肘筋:橈骨神経:C6-C8
腕橈骨筋橈骨神経:C5・C6
回外筋:橈骨神経:C5-C7
長橈側手根伸筋:橈骨神経:C5-C7
短橈側手根伸筋:橈骨神経:C5-C8
尺側手根伸筋:橈骨神経:C6-C8
総指伸筋:橈骨神経:C6-C8
示指伸筋:橈骨神経:C6-C8
小指伸筋:橈骨神経:C6-C8
長母指伸筋:橈骨神経:C6-C8
短母指伸筋:橈骨神経:C6-C8
長母指外転筋:橈骨神経:C6-C8
略語
主に使用する略語についてまとめました。略語は医師がカルテに記載する際に用いますが、正しく記載しましょう。
特に、よくある間違いが略語が多すぎて相手に伝わらないこともあります。略語は全てではないので留意しましょう。
また、正式な報告文書や学会抄録・論文では略語を用いる際は記載が必要です。
便利な略語ですが、使用する場合は考えて使用しましょう。
まとめ
今回は作業療法士にとって必要な解剖学の筋・神経について記載しました。
カルテを解読するためにも、可能であれば略語も覚えましょう。
整形外科疾患であればこちらの記事もご参考に。